ごあいさつ・病院理念・基本方針

院長挨拶

熊谷市の高城神社の参道に隣接する松坂屋旅館の一室に診療所の火が灯ったのは1953年の夏のことでした。「熊谷小児診療所」として開設されたのが現在の熊谷生協病院です。さらに民主的医療機関である埼玉民医連が結成されたのが、恒例のうちわ祭りを2日後に控えた1953年7月18日で、熊谷小児診療所は開院と同時に埼玉民医連としての歩みを始めました。その後、地域の小児医療の中核として多くの方々に支えられ、その20年後には55床の「熊谷小児病院」としてリニューアルオープンし、さらに、熊谷地域での内科医療の充実を希望する声に応え、1991年に内科病棟を有する「熊谷生協病院」へ改称。2000年に新築移転し現在の姿に生まれ変わりました。

開院以来、70年を越える長い歳月を経て、医学も驚異的な進歩を遂げました。現在は、AI技術によるイノベーションが進み、ゲノム医療の発展や、画像診断や治療技術の革命が起こり、一方で 再生医療や、バイオ製剤により難病に対する治療成績が向上しました。がんの治療も進歩し、がんは治りうる病気であるという時代を迎えつつあります。同時にそれらは生命倫理、医療倫理、医療経済などの課題を提起してきました。また、疫学の前進の中から「SDH(Social Determinants of Health:健康の社会的決定要因)」も見出され、国や地域の健康政策、HPH (Health Promoting Hospitals & Health Services:健康増進活動拠点病院)など日常医療活動にも大きな影響をおよぼしてきました。いまや SDH は卒前医学教育のコアカリキュラムに組み込まれるようになっています。さらに、患者中心の医療の学問としての発展があり、多様な個人の尊重を掲げた人権意識の前進の中で、アドバンス・ ケア・プラニング(ACP)をはじめとした傾聴と対話による問題解決の重要性が提起されています。私たち埼玉民医連の各院所でも地域の先頭に立ってACPの普及活動を展開しています。もしものときに、「どのような医療やケアを望むのか」を前もって考え、家族や医療・介護従事者たちと繰り返し話し合い共有する「人生会議」の重要性を広めています。

様々な進歩を遂げた医学界の中で、私たちが最も重視しているのは無差別・平等の医療と福祉を実現することです。1945年の日本の敗戦により国民生活が破壊され、多くの国民が医療らしい医療を受けられなかった時代に民医連医療は立ち上がりました。困窮した人びとに医療を届けようと運動を起こした人たちと、それに共感した医師、看護師たちとの出会いによって始まりました。無差別・平等の「働くものの医療機関」であり続けるために今後も尽力していきたいと考えています。

熊谷生協病院は、地域住民の方々に安心して診療を受けていただける医療機関であるともに、さらに「安心して暮らせる街づくり」を目指し、職員一同一生懸命に努める所存です。当院を受診される患者様、ご紹介してくださる医療関係者の皆様、今後とも当院の発展のため忌憚ないご意見を頂戴できれば幸いです。



2025年2月1日
熊谷生協病院 院長 宮岡 啓介

理念・基本方針

—県北地域に安心と協同の創造を—

 いついかなる時も利用者の権利を尊重し、そのニーズにふさわしいサービスを、
保健・医療・福祉の事業を通して誠実に提供します。

基本方針

  1. 利用者の意思を尊重し「安全」「的確」な保健・医療・介護サービスを提供します。
  2. 情報公開と開示をすすめ、わかりやすく納得のいく説明を行います。
  3. 利用者の保健・医療・介護サービスへの参加をすすめます。
  4. 複合型医療施設の機能を充実させ、地域に開かれた病院として貢献します。
  5. 安心と信頼を提供できる職員を育成します。

医療福祉生協の理念・いのちの章典

医療福祉生協の理念

健康をつくる。平和をつくる。いのち輝く社会をつくる。

そのために、地域まるごと健康づくりをすすめます。
地域住民と医療や福祉の専門家が協同します。
多くのひとびとの参加で、地域に協同の”わ”をひろげます。

私たち医療福祉生協は、日本医療福祉生活協同組合連合会の設立趣意書をもとに、憲法25条(生存権)や9条(平和主義)、13条(幸福追求権)が活きる社会の実現をめざします。

私たちの使命は、地域まるごと健康づくりをすすめることです。

  • 私たちは、医療や福祉の事業、健康づくりやまちづくりの運動を通じて、平和や社会保障の充実を求める運動や環境へのとりくみをまちぐるみで総合的に進めます。

私たちは、地域住民と医療や福祉の専門家が協同する組織です。

  • 私たちの組織の最大の特徴は、ともに組合員として生協を担う地域住民と医療や福祉を担う専門職がそれぞれ主体者として協力しあうことにあります。その優位性を事業と運動の全ての場面で活かすことを大切にします。

私たちは、多くのひとびとの参加で、地域に協同の”わ”をひろげます。

  • 私たちは、ICA原則にある「コミュニティへの関与」をもとに、地域の中に協同の”わ”を広げることを重視し、国際連帯の活動にとりくみます。

2013年6月7日
日本医療福祉生活協同組合連合会
第3回通常総会にて確定

医療福祉生協のいのちの章典

はじめに

日本生活協同組合連合会医療部会は「医療生協の患者の権利章典」「医療生協の介護」を策定し、事業と運動の質を高めてきました。これらの活動を引きつぎ、2010年日本医療福祉生活協同組合連合会(医療福祉生協連)が発足しました。

医療福祉生協は、いのちとくらしを守り健康をはぐくむ事業と運動を大きく広げるため、これらの成果を踏まえ、医療福祉生協連の設立趣意書の内容を基本にして「医療福祉生協のいのちの章典」(いのちの章典)を策定します。

「いのちの章典」は、憲法をもとに人権が尊重される社会と社会保障の充実をめざす、私たちの権利と責任を明らかにしたものです。

医療福祉生協とは

医療福祉生協は、地域のひとびとが、それぞれの健康と生活にかかわる問題を持ちよる消費生活協同組合法にもとづく自治的組織です。医療機関・介護事業所などを所有・運営し、ともに組合員として生協を担う住民と職員の協同によって、問題を解決するための事業と運動を行います。

医療福祉生協が大切にする価値と健康観

私たちは、近代市民社会の大原則であり、日本国憲法の基本理念である主権在民の立場にたちます。私たちは、憲法13条の幸福追求権や9条の平和主義、25条の生存権を実現するため、主権在民の健康分野の具体化である健康の自己主権を確立します。

私たちが大切にする健康観は「昨日よりも今日が、さらに明日がより一層意欲的に生きられる。そうしたことを可能にするため、自分を変え、社会に働きかける。みんなが協力しあって楽しく明るく積極的に生きる」というものです。

私たちは、この価値と健康観にもとづき、医療・介護・健康づくりの事業と運動をすすめ、地域まるごと健康づくりをめざします。

いのちとくらしを守り健康をはぐくむための権利と責任

ともに組合員として生協を担う私たち地域住民と職員には、いのちとくらしを守り健康をはぐくむために、以下の権利と責任があります。

<自己決定に関する権利>
私たちは、知る権利、学習権をもとに自己決定を行います。

<自己情報コントロールに関する権利>
私たちは、個人情報が保護されると同時に、本人の同意のもとに適切に利用することができるようにします。

<安全・安心な医療・介護に関する権利>
私たちは、安全・安心を最優先にし、そのための配慮やしくみづくりを行います。

<アクセスに関する権利>
私たちは、必要な時に十分な医療・介護のサービスを受けられるように社会保障制度を改善し、健康にくらすことのできるまちづくりを行います。

<参加と協同>
私たちは、主体的にいのちとくらしを守り健康をはぐくむ活動に参加し、協同を強めてこれらの権利を発展させます。

2013年6月7日
日本医療福祉生活協同組合連合会
第3回通常総会にて確定